【日本電気】 IR-807,IR-809磁気ドラム装置

日本電気は1961年3月,小型計算機NEAC-2205NEAC-1201の内部記憶用に各々IR-807,IR-809磁気ドラム装置の試作1号機を完成.同年4月の東京国際見本市に出品,稼働させた.
これらの装置は小型計算機での使用を考慮して,小型化,保守容易化をはかり,また一般事務室環境向けの耐温湿度,耐塵埃設計となっている.

NEAC-2205においてIR-807は,トラック1周に100語(NEAC-2205の1語は44ビット)を記憶し,主記憶用に30トラックを使用して総主記憶容量を3000語としている.
また通常の主記憶用トラックの他に高速アクセスのため,ループメモリーとして,20語のテンポラリーメモリー3トラック,10語のテンポラリーメモリー2トラック,ループレジスター1トラックを設けている.
これらのループメモリー,ループレジスターは1トラック上に2個の磁気ヘッドが一定間隔で配列されているもので,2個のヘッドは書込および読出をそれぞれ専門に行い,読出出力は計算機回路を通り書込回路に送られ,一種の遅延線記憶を構成している.

IR-807,IR-809磁気ドラム装置の諸元
型名 IR-807 IR-809
ドラム寸法(mm) 290φ×110 100φ×55
回転数(rpm AC60Hz時) 2500 1750
平均アクセスタイム(msec AC60Hz時) 12 17.1
情報トラック数 30 20
1周記憶容量(ビット) 約5,000(NRZ) 約800(RZ)
全記憶容量(ビット) 約150,000 約16,000
使用条件 温度(℃) 5〜35 5〜35
許容温度変化(℃/時間) 6 6
外形寸法(mm) 約660×500×500(H) 約210×300×235(H)
重量(kg) 約100 約10
用途 NEAC-2205 NEAC-1201

 
IR-807磁気ドラムIR-809磁気ドラム
前面カバーを外したところ