【富士通】 D101 磁気ドラム装置

富士通信機製造(現富士通)は,1958年に同社初のコンピュータ用磁気ドラム装置D101を完成させた.本装置は,67.5万ビットの記憶容量と最大アクセスタイム21ミリ秒の性能を有した.

磁気ドラム装置の最大の課題は,高速で回転するドラムの円周上の振れ(同一円周上の偏心は5ミクロン以下)をいかに小さくするかということ,並びに長時間連続運転に対しいかにその精度を保たせるかということであった.本磁気ドラムは,非磁性体(アルミニューム)の回転円筒体の上に,酸化鉄粉を約20ミクロンの厚さに塗布したものであった.磁気ヘッド(コアの材料には,モリブデンパーマロイを使用)は,5個を1組に一体成形したものを1列に5mmピッチで75個を並べ,さらに円周方向に120度ずれた3ヶ所に1.67mmずつずらして並べ,合計225個搭載された.

その後,クロック用のヘッドの独立化や容量の拡大などの改良を図った複数の機種が開発された.D101Jでは,データ用のヘッドを300個に拡大,5個のクロック用ヘッドを独立させることにより,記録密度を,円周方向には1mm当り3〜4ビット,円筒の長さ方向のピッチは約1.2mmとし,100万ビットの大容量を実現した.

同社のコンピュータ用磁気ドラムとしては,パラメトロン計算機FACOM 200の主記憶装置(4000語)(注)として使用されたのが最初であるが,FACOM 200は実験機レベルに終わったため,実際に実用化されたのは同社初のトランジスタ計算機FACOM 222においてであった.

(注) FACOM 200の1語は60ビットのため,24万ビットの記憶容量を使用したと考えられる.

D101磁気ドラム装置 諸元
  D101 D101c D101J
完成時期 1958年 1959年 1960年
回転体寸法 284φ×380 mm 284φ×360 mm 284φ×424 mm
回転数 2,900 rpm(50Hz) 2,900 rpm(50Hz)/
3,450 rpm(60Hz)
2,900 rpm(50Hz)
回転待ち時間 最大21 ms 平均10 ms
ヘッド数 一般用 225 225 300
クロック用 5 5
容量 67.5万ビット 90万ビット 100万ビット
外形寸法 (mm) 870(H)×400(Φ) 460(W)×520(D)×1,100(H)

 
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