【富士通】 F6493アレイディスク装置

F6493アレイディスク装置(注1)は,RAIDテクノロジー(RAID3)の採用による高可用性と,大容量キャッシュ,回転同期技術(注2)の導入により,高速アクセスを実現したディスク装置で,1995年6月に出荷された.

(注1)当時はアレイディスクと呼ばれたが,後にディスクアレイの呼称が一般的となった.
(注2)回転同期技術:アレイを構成する複数のHDDの回転を同期させ,回転待ち時間を同一にする機能である.この機能とデータストリピングによる並列アクセス処理を組み合わることで20メガバイト/秒のデバイスデータ転送速度が実現された.

F6493はF1710Bファイル制御装置(注3)に接続してファイルシステムを構成し,サポートする3種類の論理ボリューム容量(1,260 メガバイト, 1,890 メガバイト, 2,835 メガバイト)に対応してF6493G, F6493H, F6493Kの3種類のモデルがある.装置あたりの最大記憶容量はF6493G型で80.64ギガバイト, F6493H型で120.96ギガバイト, F6493K型で181.44ギガバイトを実現した.

(注3)F1710Bファイル制御装置は,RAID機能を備えるF6429磁気ディスク装置の高速データ転送能力を最大限に引き出す専用のファイル制御装置である.また,接続先サーバの機種に柔軟に対応するため,電気チャネル,光チャネル,OCLINK(Optical Channel Link)の3種類のインタフェースをサポートしていた.

F6493のドライブには3.5インチ型HDDを素材としたCard Disk(注4)が採用され,高密度実装技術により,F6493は,省スペース,省電力の実現に加え,装置あたり180ギガバイト,ファイルシステムあたり720ギガバイトの大容量を実現した.これにより,設置面積および消費電力の面では64ドライブ構成比較で一世代前のF6427Hに対し,面積で1/3, 消費電力で1/5を実現した.

(注4)Card Disk ;1台のHDDとコネクタ付きプリント板とをコンパクトに一体化し,F6493本体に対して挿抜可能とする実装方式.これの採用により,装置動作中での故障HDDの交換(挿抜)が可能となり,更にHDDの搭載密度を高めることが可能になった.

F6493の高信技術と高性能技術の特徴は以下の通り.

高信頼技術:ドライブ故障時においてはパリティディスクから故障ディスクのデータを自動的に復元し,業務続行を可能にした.更に業務になんら影響を与えることなく,故障ドライブのデータを自動的にホットスペアディスクに復元する機能も備えていた. またCard Disk方式を採用したことにより,故障ドライブは業務を停止することなく素早い挿抜交換可能とした.

高性能技術:各ドライブの回転を同期する技術(回転同期技術)とデータストライピングによる並列アクセス技術により,20メガバイト/秒の高速データ転送を実現した.
F6493アレイディスク装置 諸元
  F6493G型 F6493H型 F6493K型
出荷時期 1995年6月
容量 装値あたり 基本: 5.04 GB
最大:80.64 GB
基本: 7.56 GB
最大:120.96 GB
基本: 11.34 GB
最大:181.44 GB
論理ボリューム 1,260 MB1,890 MB2,835 MB
ランク容量(増設単位) 5.04 GB7.56 GB11.34 GB
トラック容量 47,476 byte
構成 装置あたりランク数 1 〜 16
装置あたり論理ボリューム数 4 〜 64
ランクあたりの論理ボリューム数 2, 4
ドライブ〜コントローラ間
データ転送速度
20 MB/s
平均ポジショニング時間 10.3 ms
平均回転待ち時間 5.6 ms

F1710Bファイル制御装置 諸元
データ転送速度 電気チャネル3.0 MB/s,4.5 MB/s
光チャネル6.0 MB/s,9.0 MB/s
OCLINK12.0 MB/s,17.0 MB/s
接続チャネル数4,8,12,16

  
F6493アレイディスク装置