【三菱電機】 M836 ディスクパック装置

三菱電機が,1973年に発表した大容量交換型磁気ディスク装置で,IBM3330型磁気ディスク装置に相当し,1軸あたり100MBの記憶容量と,平均30ミリ秒の高速位置決め機構を備えていた.これは,MELCOM 7000シリーズCOSMOシリーズなど,中形から大形のコンピュータのデータファイルとして使用された.

この装置は,以下の特長を持っていた.

  • 高密度磁気記録技術を駆使し,トラック密度192トラック/インチ,ビット密度4040ビット/インチを実現し,さらにMFM(Modified Frequency Modulation)変調方式の採用により大容量化を実現した.
  • 従来の油圧位置決め方式に対し,リニア・モータを使用したトラックサーボ方式の採用により,高速かつ高精度な位置決めを可能とした.
  • 回転位置検出機構および高信頼度自動保守機能により,ディスク制御装置の負担が軽減されると共に,稼働率が向上した.また,診断プログラムによる自動診断が可能となった.
  • 独自の自己加圧形磁気ヘッド技術の採用により,ヘッドの加圧保持機構を簡素化,軽量化し,アクセスタイムの高速化を実現した.
M836 ディスクパック装置の主な仕様
装置記憶容量 100MB
トラック容量 13,440byte
位置決め時間 平均30ms
回転数 3,600rpm
ビット密度 4,040bit/inch(159bit/mm)
トラック密度 192トラック/inch(7.5トラック/mm)
データ転送速度 806KB/s
記録方式 MFM
記憶媒体 IBM3336相当品
円板直径 : 14inch(356mm)
円板枚数 : 10 + 2(保護)
データ記録面 : 19
サーボ面 : 1
シリンダ数 : 404 + 7(予備)
質量 : 9kg
外形寸法(幅×高×奥) 640mm×1,100mm×950mm
質量 250kg

1975年には,トラック密度を2倍の370トラック/インチに高密度化してシリンダ数を808 + 7(予備)にすることにより,200MBの記憶容量を実現したM2837を発表した.
更に,1979年には,ビット密度を1.5倍の6,060ビット/インチに高密度化してトラック容量を20,160バイトにすることにより,300MBの記憶容量を実現したM2838F を発表した.


  
M836 ディスクパック装置