【日立】 H-8576 磁気ディスク装置

H-8576磁気ディスク装置は,H-8595(317MB/sp)の装置当り2倍容量機として開発された.
本装置は,当時実績を作りつつあった小形ディスク系統の方式をミッションクリティカルユースに耐えられるレベルに高め,高信頼度化と低コスト化を両立させた装置であった.
それまで,大型ディスクはIBMの装置の方式を参考に基本的に類似装置を開発していたが,本装置では,当時小形で採用されていたロータリアクチュエータ/完全密閉HDA方式を採用し,またコネクタ等接続部品の低減を図る為,小形ディスクと同様にエレクトロニクスをHDAに直接取り付ける方式を採用した.
またコスト低減のためにスピンドル1基に2台のロータリアクチュエータを配置し,HDA当り2台の独立のアドレスを持つアクセス機構を搭載した.両アクチュエータはそれぞれ別の円板面を受け持ち,317MBの容量で,IBM3350との互換性を持たせた.
電源方式もCVTトランス出力を直接整流したままの粗整流電源を採用し,部品点数も少なく従来のドロッパ/スイッチング方式のものに比して,格段の高信頼度化を図ることが出来た.
機構部では,ロータリアクチュエータ方式はあったものの,14インチディスク6枚を受け持つ大型アクチュエータは初めてであり,小径ディスクの時は顕在化していなかった数多くの課題が発生したが,研究所/工場の機構担当および制御回路担当技術者の緊密な連携により,問題解決に当り開発を成功に導いた.

H-8576 磁気ディスク装置 諸元
完成時期 1981年1月
装置当り記憶容量 1,260 MB/DKU
スピンドル当り記憶容量 630 MB
BPI 6,250BPI
TPI 720TPI
面記録密度 4.5 Mbit/ inch²
円板サイズ/枚数 14 inch/11枚
ヘッドタイプ/アクチュエータ当り本数 軽荷重NiZnフェライト/20本+1本(サーボ)
平均アクセス時間 18 ms
ディスク回転数 3,600rpm
データ転送速度 1.2 MB/s

  
H-8576 磁気ディスク装置