H-8595 磁気ディスク装置は,記録媒体交換の機構精度限界やヘッド-ディスク間の塵埃制御の技術的困難さを克服する為,固定ディスク及びCSS(Contact Start Stop)方式を用いた軽荷重ヘッド方式を採用した.固定ディスク/軽荷重ヘッドの方式は現在に至るまで全てのHDDに採用されており,エポックメーキングな装置となった.この軽荷重/CSS方式ヘッドは別名ウィンチェスタ型ヘッドと呼ばれ,その後のディスク装置で薄膜ヘッドが登場するまで,10年以上使用されることになった.本ヘッドの特徴は,フェライトを機械的に加工してヘッドスライダの形状を作り,この一部にリングコアを形成し,数十ミクロン径の電線を巻く事により,リードライトコア部を形成していた.
これらの技術により,ヘッド - ディスク間は約0.5μmと飛躍的に減少し,高密度記録が可能となった.また,固定媒体方式となった為,媒体互換性確保の為の技術制約が解消したことにより,その後の高密度記録/大容量化競争の端緒となっていった.しかしながら大容量化されたとはいえ,従来の交換型媒体時の無限の仮想的記憶容量及びデータ保管の容易さは,本装置を機にテープ等の別媒体に依存することになった.
また,本装置はその制御装置のホスト側接続インタフェースをIBM3350系と互換性を持たせることにより,IBM3350ディスクのPCM(プラグ・コンパチブル・マシン)として,米国/欧州の販売会社経由でのワールドワイド展開を可能にした.
完成時期 | 1978年10月 |
---|---|
装置当り記憶容量 | 630 MB/DKU |
スピンドル当り記憶容量 | 317 MB |
BPI | 6,250BPI |
TPI | 480TPI |
面記録密度 | 3Mbit/ inch² |
円板サイズ/枚数 | 14inch/8枚 |
ヘッドタイプ/アクチュエータ当り本数 | 軽荷重インダクティブ/30本+1本(サーボ) |
平均アクセス時間 | 20 ms |
ディスク回転数 | 3,600rpm |
データ転送速度 | 1.2MB/s |