FACOM 856は,富士通の最初の磁気ディスク装置であり,1963年に完成した.
コンピュータの処理の能力の向上にともない大容量の記憶装置が求められていた.そこで,磁気ドラムより記憶容量が大きくかつランダムアクセスが可能な磁気ディスク装置が,外国メーカ各社で開発され始めた.これらは,ヘッドが移動するもの,高速化を狙いヘッドを移動させないもの,磁気テープ装置のようにディスクプレートを交換できるものの3つのタイプがあった.
FACOM 856磁気ディスク装置は,ヘッドが移動するタイプの磁気ディスク装置で,FACOM 241Dの補助記憶装置として開発された.本装置は,磁気ディスク制御装置と最大4台接続可能な磁気ディスク機構部から構成され,記憶容量は480万語〜1,920万語(40ビット/語)であった.磁気ディスク本体は,16枚の情報用ディスクプレート,1枚のクロック用プレート,および1枚のバッフルディスクプレートより構成されていた.ポジショナは16枚の情報ディスクプレートのそれぞれにあり,そのポジショナのアームにそれぞれ8個のヘッドがついていて,平均195ミリ秒(50Hz時)のアクセスタイムを有した.本装置は,磁気テープ装置と同様にFACOM 241Dのデータチャネルに通して主記憶と接続された.
FACOM 856磁気ディスク装置 | ||
---|---|---|
完成時期 | 1963年 | |
ディスク | 記憶容量 | 192,000,000 bit |
記録長 | 固定長セクタ方式 | |
ディスク枚数 | 18枚(情報用:16枚,クロック用:1枚,バッフル用:1枚) | |
ディスク回転数 | 1,200 rpm(60Hz)/1,000rpm(50Hz) | |
平均回転待ち時間 | 25ms(60Hz)/30ms(50Hz) | |
ポジショニング時間 | 平均190 ms(60Hz)/195 ms(50Hz) | |
書込読取速度 |
内側:396 kbit/s 外側:704 kbit/s |
|
装置 | 搭載ディスク台数 | 最大4 |
記憶容量 | 480〜1,920万語(40 bit/語) | |
接続システム | FACOM 241D |