石井善昭,斎藤将人,山田昭彦らにより1960年にNEAC-2204は開発着手され,第1号機は1961年9月に完成出荷された.
NEAC-2204はNEAC-2202で実現したオンライン・リアルタイム処理,多重プログラム処理を継承し,プログラム内蔵方式を導入し,ファイル装置・入出力装置の整備を計った.
プログラム内蔵方式により,NEAC-2204 では7つの異なるプログラムがCPUタイムをスライスする方式で同時に実行できた.主記憶には性能よりコストを重視して磁気ドラムを用い,演算速度とバランスをとるため,磁気コアによるバッファメモリをキャッシュとして使えるようにされていた.時分割方式を採用し,最大7台の入出力装置の同時制御が可能であり,NEAC-WRITER,光電式テープ読み取り機,高速度テープ鑽孔機,カード入出力装置,高速度印字機の多様な入出力装置が使用できた.
さらに,データのファイルメンテナンスを行うため,大容量低価格な磁気テープが使用可能であり,速度差を補うため,磁気ドラムの一部をバッファとして使用できた.
1号機は山一證券福岡支店に納入され,1階の店頭に端末,地下にNEAC-2204を置いて
昼は証券取引をオンラインで,閉店後はバッチ処理で統計・報告書作成などを行い,オンラインバンキングの先駆けとなった.
完成時期 | 1961年9月 | |||
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演算方式 制御方式 |
10進直列式固定小数点 プログラム記憶方式 |
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演算素子 | トランジスタ | 350 | ||
ダイオード | 7000 | |||
磁気コア | 360 | |||
語の構成 | 数値語 | 10進12桁および符号(1bit) | ||
文字語 | 2桁で1文字(カナ文字,記号) | |||
指令(命令) | 31/2番地方式 インデックスレジスタ 14個 |
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演算速度 (磁心記憶使用) |
加減算 | 1.5ms | ||
乗算 | 33.5ms | |||
除算 | 38.75ms | |||
内部記憶装置 | 磁気ドラム | 主記憶 | 3000語 | 平均呼び出し時間 13.7ms |
ループ記憶 | 100語 | 平均呼び出し時間 3.7ms | ||
磁心記憶 | ループ記憶 | 100語 | 平均呼び出し時間 3.7ms | |
磁気テープ装置 | 磁気テープユニット | 6台まで | ||
読取書込速度 | 120語/s | |||
1リール | 10万語 380m | |||
入出力装置 | 光電式テープ 読取機 |
200字/s 4台まで | ||
高速度テープ 鑽孔機 |
50字/s 4台まで | |||
高速度印字機 | 200字/分 1行120字(96文字用) 350字/分 1行120字(48文字用) いずれか3台まで |
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カード読取装置 | 200枚/分 3台まで 100枚/分 3台まで |
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NEAC-WRITER | 100枚/分 7台まで 印字速度 560字/分 鑽孔速度 560字/分 読取速度 560字/分 |