【富士写真フイルム】 FUJIC

富士写真フイルムにおいて開発された真空管式電子計算機.レンズ設計に使用することを目的として岡崎文次により開発された.岡崎は1949年から研究を開始し,1952年3月からメモリ関係の研究と並行して全体の組立てが行われた.1955年11月に電子通信学会電子計算機研究専門委員会の見学会で,動作のデモンストレーションが行われた.1956年3月初めに完成し,我が国最初の電子計算機となった.FUJICは真空管を約1,700本使用した2進法3アドレス方式の電子計算機で,記憶装置には超音波水銀遅延線(255語)が採用された.論理回路のクロック周波数は約30KHzであったが並列演算回路を採用し,加減算0.1ms,掛算1.6msと,当時としては比較的高速であった.目標はレンズ設計において人手計算の1,000倍であったが,約2,000倍の性能を実現した.2年半の間小田原工場で社内外の計算に使用された.その後早稲田大学に寄贈され,現在は国立科学博物館に保存されている.


  
FUJIC