- ・106-20OS
- 1980年代には,情報化社会の成熟に伴い,コンピュータシステムに要求される処理能力は増大する一方であり,また,システムの規模もますます大規模化する傾向にあった.一方システムの大規模化にもかかわらず,信頼性の向上,運用・操作性の簡易化,業務の増大や追加に対する拡張性の確保も強く要望されていた.DIPSでは,これらの要望に対応して大規模システムを分散システム構成で構築可能とするために高性能光ループを用いてコンピュータ本体装置(HOST:DIPS-11/5Eシリーズ)と前置型通信制御処理装置(FEP:CCP-IIE)とを完全群接続するとともに,これらのプロセッサノード群の運転を集中化しかつ大幅に自動化したDIPS複合構成システムを106-20OSで実用化することとした.
複合構成システム実現のために実用化した機能は,ハードウェア機能としては光ループを用いたプロセッサノード間通信機能,複合構成システム全体を監視制御するシステム制御プロセッサ,ソフトウェア機能としては各ノードの運転の自動化および,ホスト障害時の自動予備切り替え,その間のFEPでのメッセージ 保留と自動再開機能,ホスト、FEPなどを含むシステムの制御を一ヶ所で行うための集中運転管理機能,自動運転管理技術等であった.
その他,新本体系装置として小型系システムの拡張,自動媒体保管機構付大型2次記憶装置(CMSS),光ディスク,半導体ディスク,4台マルチプロセッサ制御,2重化ディスク制御,高機能データチャネル制御,階層ファイル制御など,DIPSとしては最大の機能追加を行った.
106-20OSは、郵政システム、新全国銀行協会為替、運輸省車検登録など数多くの大規模システムに導入された。
- ・106-21OS
- NTTとして最後のDIPS-OSのリリースとなったOSである.高速・高信頼性を目指したシステム実現の構想までは検討を行ったが,NTTとしては,独自OSの開発継続を行わず,市販機をベースとしたマルチベンダシステムへ移行していく方針となったため,最後のリリースとして,中大型HOSTとして,DIPS-11/5EXシリーズ,前置型通信制御処理装置(FEP:Front End Processor)としてCCP-IEX/IIEX,小型HOSTとしてDIPS-V40SX/EX,5EXシリーズを対象にアドレス空間を31ビットに拡大、系間共用拡張記憶および,光ディスクを媒体とした自動媒体保管機構付大型2次記憶装置のサポート等に限定してリリースした.
- 参考資料
- 図に複合構成システムの主要技術について示す.