【富士通】 FACOM 230-15

富士通の汎用小型コンピュータで,FACOM 230-5シリーズの最下位機.本機は,事務用小型コンピュータFACOM 230-10と汎用中型コンピュータFACOM 230-25の間をカバーする汎用小型コンピュータとして,1970年4月に発表された.当時は,情報化時代の到来とともに,情報処理技術は新時代を迎えていたが,このFACOM 230-15では,新技術の採用により高い価格/性能比を実現した.以下に本機の特徴を示す.

(1)高速処理能力
  • ICの採用により高速マシンサイクル 750nsを実現
  • 情報の形式は16ビット(語)を基本とし,事務計算は4デジット,2バイト並列演算により高速演算.科学計算用に倍語長(32ビット)演算および2進乗除算をオプションとして装備
  • 高速内蔵ドラム(容量 131/262KB,アクセス時間 10.0ms(50Hz)/8.5ms(60Hz),転送速度 218KB/S(50Hz)/262KB/S(60Hz))の採用により高速ページングを実現
(2)優れたファイル能力
内蔵ドラムに加え,磁気テープや磁気ディスクパックなど優れたファイル能力を有した
(3)回線制御専用チャネルの開発により容易な通信回線接続を実現
(4)高い経済性
  • CPUを基本と2つオプション(事務計算用,科学計算用)にモジュール化
  • 入出力制御装置の機能を統合したチャネルの開発により,部品を大幅に削減し,小型化・低コストを実現

FACOM 230-15と当時の既存機種との比較
機種名 FACOM 230-10 FACOM 230-15 FACOM 230-25
発表時期 1965年3月 1970年4月 1968年8月
主記
憶装置
記憶素子 磁気コア
サイクル
タイム
2.0μs/1バイト
(1バイト=10bit)
1.5μs/2B 1.5μs/2B
容量 4〜8Kバイト 8〜32KB 8〜64KB
演算
速度
2進加減算
(16ビット)
なし 3.0μs 3.0μs
10進加減算 144.2μs
(5桁+符号)
28.5μs
(5桁+符号)
21.75μs
(6桁+符号)
浮動小数点加減算 なし なし 16.5μs
(32ビット)
命令語長 1〜5バイト可変 2/4/6 B 2/4 B
最大チャネル数 2 6 6

  
FACOM 230-15