1983年4月,日本電気は,初めて1ギガFLOPSを超えたスーパーコンピュータ,NECスーパーコンピュータSX-2を発表した.同機は,多重並列動作ができる高性能ベクトル演算パイプラインを4セット(演算器数最大16個)使用するとともに,我が国で初めての直接液体冷却方式による新型LSI高密度パッケージなど最新技術を採用することによって,6ナノ秒という超高速マシンサイクルを達成し,1.3ギガFLOPS(1秒間に13億回の浮動小数点演算)という世界最高速を実現した.同時に最大性能が570メガFLOPSのNECスーパーコンピュータSX-1も発表された.
SX-1,SX-2両機は,ゲート当たりの遅延時間が250ピコ秒でチップ当たり1,000ゲートの論理素子やアクセスタイムが3.5ナノ秒でチップ当たり1キロビットの記憶素子などの超高速LSIを使用.
ベクトル演算パイプライン方式は,DOループで記述された繰り返し演算を単一命令で指示するSIMD命令を効率よく高速に処理するのに適したハードウェアアーキテクチャであり,これにより演算性能は飛躍的に向上し,核融合や分子科学研究の分野から航空,自動車の設計,さらには気象予報など科学技術用として多岐にわたる分野で使用されてきた.
SX-1 | SX-2 | ||
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発表時期 | 1983年4月 | ||
最大ベクトル演算性能 | 570MFLOPS | 1.3GFLOPS | |
演算部 | 演算プロセッサ台数 | 1台 | |
キャッシュメモリ容量 | 64KB | ||
主記憶容量 | 64/128/256MB | 128/256MB | |
入出力処理装置 | 台数 | 1台 | |
総合データ転送速度 | 50MB/s | ||
入出力チャネル本数 | 最大32本 |