【電子技術総合研究所】データフローマシンEM-4

EM-4は電総研を意味するETLのマシンの4番目の意であり,1986年から1990年にかけ,坂井修一,児玉祐悦他により,電子技術総合研究所で試作された1024プロセッサの記号処理用・シミュレーション用データフロー型並列計算機である.プロトタイプでは最高性能は1 GIPS,ネットワーク性能は14.63 GBpsを得た.1,000台程度の並列計算機を接続し,データフローの効率を高め,高速かつ柔軟なネットワークを実現すべく,アーキテクチャの検討,LSIの設計と試作,80プロセッサのプロトタイプ試作,Cコンパイラの開発などを経て開発された.LSIとしてはデータフロー用プロセッサチップEMC-Rを開発した.

SIGMA-1をはじめとする過去のデータフローマシンの使用経験から新しいデータフローのアーキテクチャが再検討されてきた.その結果,データフロー型,フォン・ノイマン型を融合したアーキテクチャを採用することになった.CRAY/XMPの21倍,SUN Sparc-330の94倍の高速性能が得られ,この経験はEM-X,RWC-1に継承されている.

(情報処理学会歴史特別委員会編「日本のコンピュータ史」(2010年,オーム社発行) p.199より編集)


  
EM-4