【筑波大学】プロセッサアレイ計算機PACS

PACSの名の由来はProcessor Array for Continuum Simulationである.京大にいた星野力は原子炉炉心用シミュレータを最初の目的として,プロセッサアレイの計算機を検討し,1980年にトーラス型隣接結合2次元配列,32台CPUの並列マシン,PACS-32(0.5 メガFLOPS)を完成させた.PACSでは,内部バスが直接にCPU間結合に使われ,広いバンド幅を確保した.同時期に星野は筑波大学へ転勤し,以後の研究は筑波大学で行われた.

PACS-32に続いて筑波大学ではPACS-128も作られ,さらに商用をめざして三井造船はPAX-32Jを製作した.

このプロジェクトはさらに進展し,1990年,QCDPAX(Quantum Chromo Dynamics Processor Array eXperiment)に結実した.関係資料,部品,QCDPAXの筐体1個は国立科学博物館に保管されている.

(情報処理学会歴史特別委員会編「日本のコンピュータ史」(2010年,オーム社発行) p.194より編集)