【沖電気】 2方式のプログラム制御を採用したパラメトロン式計算機:OPC-1

1959年3月に完成したOPC-1(OKI Parametron Computer-1)は,会計事務処理システムのモデル化として開発されたものであるが,OSやモニタなどのシステム全体を制御するソフトウェアは存在せず,プログラミングは24種の機械命令を用いて,次の2つの方式で行えるようになっていた.

(1)ワイヤリング制御方式
この方式は紙カードリーダーやプリンタなどの機器と連動して,簡単にプログラム処理ができるように電子交換機のパッチボードのワイヤリング技術をもとに考案されたものである.
パッチボードは22行×14列のハブと呼ばれるソケットが並んだものであり,最大で16ステップのプログラムを組めるようになっている.ハブにはプログラムステップハブ,プログラムサプレッションハブ,オペレーションハブなどの区分があり,各ハブをワイヤで接続し,機械命令を作り出すものであった.
これらの操作により,紙テープまたはカードから数値を読み取り,簡単な計算をしてプリンタに印字する処理ができるものであった.一方,複雑な計算が必要な場合には,次のプログラム記憶方式が使えた.

(2)プログラム記憶方式
この方式では,プログラムをあらかじめ磁気ドラムに格納しておき,それをre-start-keyを押すことで命令が実行できるものであり,プログラムを磁気ドラムへ格納するためには,紙テープの最初に特定の符号(1101)を入れ,その後にプログラムを入れて,start keyを押すと自動的に記憶されるものであった.
この方式は,マニュアルオーダーと呼ばれる機械語を手操作で記憶させ,その後にブートストラップ(bootstrap)と呼ばれる紙テープ上の機械語をさらに読み込ませるという方式が多く採用されていた当時としてはユニークなものであった.