標準OSとしてのDIPS-103OSは,仮想空間方式,装置の物理的特性に依存しないファイルアクセス方式(VMAP),TSS(タイムシェアリングシステム)向きの仮想ファイルを用いたファイルリカバリ方式(VFS)など,当時の新機軸を導入して開発を進めた.
外部条件の具体化により,TSSシステム用には103OSを基本にDEMOS-E用のコマンドシステム搭載など若干の改良を行えば適用できるが,リアルタイムシステム(RTS)への対応にはこのままでは困難で,ファイルシステムの見直しのほか,実行管理に大幅な手直しが必要なことが判った.
上記の結果,TSS用チューンアップを施した103-10OS,リアルタイムサービス用にチューンアップした103-20OSの2系統に分化させて開発は進められた.
TSS(タイムシェアリングシステム)用の103-10OSは1972年を皮切りに当時の電電公社が商用導入していたTSSサービスシステム(DEMOS-E1972年11月サービス開始)に使われ,その後も計算機間通信をはじめとするTSS機能を拡充しつつ,105OSへと発展していった.
リアルタイムシステム用の103-20OSは,在来のVTOC方式による私用ファイルのサポートなど,103-10OSの制御プログラムを改良すると共に実時間固有機能をパッケージ化して実用化した.