【日本電気】 ACOS-2/XP

ACOS-2/XP(eXtended Processor)は, 日本電気の小型汎用機用オペレーティングシステムであり,1994年5月に発表され,7月から出荷された.
本オペレーティングシステムは,演算処理機能を1チップに収めたCMOSプロセッサ「NOAH」を搭載するパラレルACOSシリーズの小型機AX7300,AX7300V上で動作する.また、基幹業務のための集中処理に加えて,パーソナルコンピュータやワークステーションによるエンドユーザコンピューティングの増加に対応し,ホストコンピュータのデータをエンドユーザ部門で容易に利用するためのソフトウェア機能を提供している.

主な特長は次のとおりである.

1. 並列化・高性能化
メモリ共有型並列システムの性能を最大限に引き出すための新たな並列処理技術として,パラレルバッチ機能を提供している.また,大量データの高速処理を実現するために,電子ディスク,LANプロセッサなどを有効活用するための機能をサポートしている.

(1)パラレルバッチ機能
ジョブ内の複数のジョブステップを容易に並列実行可能とするための機能で,「パラレルジョブステップ」と「同期型ファイル」で構成される.アプリケーションプログラムを変更することなくJCL(ジョブ制御言語)の簡易な修正のみでジョブの並列実行性を高め,バッチ処理性能の飛躍的な向上が可能となる.さらに,JCL修正を支援するための分析ツールとして「パラレル化支援ツール」を提供している.
(2)高性能化
業界標準プロトコルTCP/IPの高速処理化を図るためにLANプロセッサの利用をサポート.また,価格性能比が大幅に向上した電子ディスクの運用面を支援するために,自動退避/復旧機能を提供している.さらに送信メッセージ管理を主記憶上で行うオンラインエンジン機能やJCLを事前に主記憶登録するジョブ高速起動機能を提供している.

2. オープンシステムとの連携
企業内で活用されているパーソナルコンピュータを束ね,基幹システムとオープンシステムとの連携を推進する機能を,主にWindowsの活用,基幹データベースの活用という観点から提供している.代表的なものは以下である.

(1)VIS/VE(Versatile Information System / Visual Environment)
VISで実現される基幹業務システムのGUI化およびオープンシステム環境との データ連携を行う.これにより,Windows環境に違和感のない操作/運用性やACOS−2上の基幹業務アプリケーションとWindows上のアプリケーションが連携するクライアントサーバ型システムの構築が可能となる.また,リモートファイルアクセス,リモートジョブエントリなどの機能も有している.
(2)ODBC(Open Database Connectivity)対応
マイクロソフト社が提唱したODBCは,Windows環境からデータベースにアクセスするためのデファクトスタンダードな規約となっている.ACOS−2/XPでは,ODBC付加機構を提供することでWindows上で動作するODBCドライバと連携し,ODBCに対応したソフトウェアからサーバ経由でACOS-2上のデータベースRIQS?Uへのアクセスを可能としている.これによりODBC対応の市販ソフトウェアや市販の開発ツールを利用して作成した業務プログラムから,基幹データベースをアクセスするシステムの構築が可能となっている.

3. 信頼性・運用性の向上
ディスクアレイ,無停電電源装置(UPS)などのハードウェアを有効活用するためのサポートに加えて,以下のような機能を提供して,ホスト基幹業務の信頼性・運用性のより一層の向上を図っている.

(1)システム稼動監視機能
システムの稼動状況(CPU使用率,実行中ジョブ数,メモリ情報,ディスクI/O情報,回線送受信回数)をグラフィカルに表示するとともに,レスポンス低下状態を早期に検出する.また,障害通知,指定メッセージ通知などの各種事象を選択的に指示することが可能で,オペレータ端末としての操作性・運用性の向上を図っている.
(2)ダイナミックスペース管理機能
ワークファイルなどを格納するボリュームの複数化とファイルアロケーションの自動最適化を行うことで,業務拡大にともなうファイル割付作業の運用負荷を低減している.


 
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