音声認識・音声入出力・イメージ処理を可能にした高性能オフコン.
リコーの創立50周年記念モデルとして,新しい発想,新しいデザインで開発された“ヒューマンビジネスコンピュータ「RICOM I」”が1985年5月に発売された.従来のオフコンとは異なり,数字データの処理だけでなく,周辺機器を付加することによりコンピュータに「耳・口(声)・目」を持たせることができ,音声,イメージの処理までを1台でこなすことができた.
120語までの単語を認識し,キーボードレスで命令やデータを入力できる「音声認識装置」,補助記憶装置に肉声をファイルしておき,操作ガイダンスとして使用することや,通信の際のボイスメールとして使用できる「音声出力装置」,図・写真・文字を読み取り,イメージをそのままオフコンに取り込むことができる「イメージスキャナ」が装備されていた.
リコー独自の「積み上げ思想」で,システムの拡張が容易なことが特徴.業務処理が増大しても固定ディスク装置(最大134メガバイトまで搭載可能)や高速日本語ラインプリンターなどを付加することにより,ソフトウェアをそのまま活かしながら上位機種へと移行することができた.
ワークステーションは,最大7台まで接続でき,しかもワークステーションをパソコンとして利用することも可能であり,高度なシステムが構築できた.通信機能を強化し,データ集配信を効率よく行う多回線通信(同時4回線)や,DDX(パケット通信)に対応可能.また,IBM3270エミュレータによりオンライン端末として使用することや,リコーのハンドヘルドコンピュータ「リコーSP35」,「同45」から転送されたデータを処理することも可能.COMPOS(リコー自社開発のオフコン用OS)とMS-DOSの両方を搭載し,定型業務だけでなく,非定型業務にも柔軟に対応ができた.また,定評のあるビジネス融合ソフト「リコーマイツール」も使用できた.
これまでのRICOMシリーズによって蓄積された豊富な導入実績をもとに作成された各種パッケージ群から5種類(販売管理,財務管理,人事給与,顧客情報管理,生産管理)の業務別パッケージと10種類(建設業,自動車整備業,歯科医院,酒類販売業,運送業等々)の業種別パッケージが用意されていた.