キーボードレス(ブックパネルのペンタッチ入力)のオフコン.
専用のオペレータでなくとも,簡単に操作ができるコンピュータとして,リコーが「リコーペンコールDE5000」を1976年5月に発売.当時の先端技術であったフロッピーディスクを補助記憶装置に採用し,タイプライタ式キーボードの代わりにテンキーとブック型のパネルボードをつけたユニークなペンタッチ入力のオフコンである.ブック型パネル上に手書きの得意先名,商品名などを配列し,該当する項目をライトペンでタッチするだけで初心者にもデータ入出力ができるシステム.リコーと金沢のバンテック社が提携し,共同で開発した.
ブック型パネルには見開き1面に432項目の記入スペースと穴があり,ペンで押せば入力できる仕組み.1冊あたり見開き9面(18ページ)あり,業務に応じて取り替えも可能になっていた.この簡易オペレーション機能により,キーボードに慣れないユーザにもコンピュータに対する親しみやすさを生み出した.リコーペンコールの発売を期に,マイクロ機器(保管),リナック(検索),リコピー(複写),リファクス(伝達)とこれまで分類されていたオフィスの事務処理がシステム化され,中小規模事業所を中心に急速に業務改善システムの導入が普及した.プログラム言語はアセンブラ.記憶素子は,ICメモリを採用し,記憶容量は,16キロバイト.オプションとして用意されている紙テープパンチ・カセット磁気テープ装置を連動することによって,伝票発行をしながらコンピュータで処理するデータも作成できた.