【東芝】 TOSBAC漢字システム15

東芝が1978年に発売を開始した,日本初の漢字オフコン.TOSBACシステム15をベースにして漢字機能を強化し,モデル体系としてもシステム15の体系を踏襲し,モデル10,20,30の3モデルがあった.このモデルの間には取り扱い可能な漢字文字種の違いがあり,モデル10ではJIS C 6226(以下JIS漢字と呼ぶ)第一水準(約3,300文字種),モデル20ではJIS漢字第一,二水準(約6,600文字種),モデル30ではJIS漢字第一,第二水準を含む11,000文字種の取り扱いが可能であった.TOSBAC漢字システム15では,プリント,表示ともに24×24ドットフォントを当初からサポートし,モデル20,30では,第二水準までの漢字の印字,表示が可能であった.

漢字の入力方法としては,直接入力,かな漢字変換(一字変換),熟語入力,JIS区点入力の4種類が提供されていた(後の機能強化で,住所入力用に郵便番号入力が追加された).入力装置のキーボードは,いわゆるフルキーボードではなく,ブックマット方式のキーボード(システム15ではタッチインキーボードと呼んでいた)であった.ブックマット方式のキーボードには,杭のような192個の棒状のキー(押しボタンといった方が適切かもしれない)が2組ついている.一方,プラスティックを本のように綴じたブックと呼ばれるものがあり(14ページのブック),キーボードの上に見開き状態で被せて使用する.ブックを構成するプラスティックのページには,キーボードのキーに相当する部分に192個の穴が開いており,ブックをキーボードにうまく被せることができるようになっている.各ページの穴の下には,そのキーを押した際に入力されるデータが印字されている.ブックマットは,元々商品コードや得意先コードのようなコード入力を容易にする目的で開発されたキーボードであり,入力するコードに応じて複数のブックを使い分けるようになっていた.このブックの1つとして漢字入力に使用する漢字マスタブックが準備されていた.漢字の入力では,ブックマットキーボードに漢字マスタブックを組み合わせて使用するが,4つの入力方法(直接入力,かな漢字変換入力,熟語入力,JIS区点番号入力)に応じて,使用するページが異なっていた.写真で女性が手を置いて操作しているのがブックを被せた状態のブックマットキーボードである.


  
TOSBAC漢字システム15