沖電気が事務用電子計算機として1966年に発表したOKIMINITAC5000はビリング(伝票発行)処理をリアルタイム処理とバッチ処理共に行い,しかも最大8台のタイプライタOKITYPERで異なる業務を同時に処理できる機能を有していた.この機能を実現するために主記憶装置は磁気コア16キロバイトであり,67キロバイトの容量を持つ磁気ドラム装置ではソーティング処理を行うものであった.
続いて発売されたOKIMINITAC500(1967年)は計算と作表を同時に自動的に行うことができるとともに,必要なデータを紙テープへ出力し,大型電子計算機やデータ伝送へと連携することができるものであった.処理手順は10種類の命令を組み合わせ,プログラムボードから記憶させる方式を採用したものである.OKIMINITAC500の正面パネルにはプログラムセレクトスイッチ,切上,切捨,四捨五入のスイッチ,コンマ挿入スイッチ,定数/日付スイッチおよび定数ダイヤル,印字桁ダイヤル,切捨桁ダイヤルなどがあり,下部ポケットにプログラムパッチボードが収納され,これらのスイッチやプログラムパッチボードの切替操作により多種の伝票作成をオキタイパとともに行うことができるものであった.
ストアードプログラム方式を採用したOKIMINITAC710は1971年に発売され,伝票発行処理に限らず分類・集計業務まで幅広い事務業務に採用された.特に演算装置には全面的にICを採用し,本体をタイプライタの下部に収納したコンパクトな設計であった.また,紙テープの入力/出力も可能であり,10キーも装備されたものであった.記憶装置は400語,命令数は32種類が提供された.
OKIMINITAC5000 | ||
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発表時期 | 1966年 | |
中央処理装置 | 制御方式 | ストアードプログラム方式 |
演算素子 | トランジスタ,ダイオード | |
記憶素子 |
磁気コア 8,192byte,16,384byte 磁気ドラム 67,528byte |
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サイクルタイム | 磁気コア 4μs | |
アクセスタイム | 磁気ドラム 平均20μs | |
データ形式 | byte(8bit+パリティ) | |
語形式 | 可変長,固定長 | |
インデックスレジスタ | 2個 | |
命令数 | 59種 | |
割込処理 | 入出力動作終了割込,端末装置キー割込 | |
タイプライタ伝票発行 | 印字速度 | 500字/分 |
紙テープ読取速度 | 500字/分 | |
紙テープ鑽孔速度 | 500字/分 | |
活字種類 | 最大144種 | |
エッジカード | 使用可 | |
光電式テープリーダ | コード | 6単位,8単位 |
読取速度 | 200字/秒または400字/秒 | |
高速紙テープパンチ | コード | 6単位,8単位 |
読取速度 | 1,500字/sまたは5,000字/s | |
ラインプリンタ | 印字方式 | フライングベルト方式 |
印字速度 | 270行/分 | |
1行印字数 | 120文字 | |
磁気テープ装置 | 記録密度 | 200bit/inch |
読取速度 | 190cm | |
巻取速度 | 380cm | |
テープ長 | 2,400フィート | |
情報転送速度 | 15KB |
OKIMINITAC500 | ||
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発表時期 | 1966年 | |
処理方式 | プログラムード方式 | |
回路構成 | トランジスタおよびダイオードを用いたスタティッククロックパルス(20kc/s)同期式 | |
数値表現 |
固定小数点方式 2進化10進数 信号直並列転送 |
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演算 |
加減算 結果数10桁 速度0.5ms 乗算 結果数10桁 平均12.4ms 最大45.5ms |
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定数 | 6桁1組タイプアウトするかあるいは計算に使うかは任意選択可能 | |
印字桁数 | 1桁〜10桁 | |
外形寸法 | 190mm(W)×485mm(D)×357mm(H) |