【日立】 HITAC-8100

処理装置を全面的にIC化した小形コンピュータで,1965年12月に発表された.オペレーティング・システムは,独自に開発されたディスク・オリエンテッド・システムである.業務処理形態としては,従来から普及しているバッチ処理はもとより,インライン処理も可能とした.インライン処理は,POPシステムと名付けられたソフトウェアにより,種々の伝票作成と関連するファイルの更新をリアルタイムで行うものである.処理装置の基本回路としてCML型ICを全面的に採用し,高速演算処理を可能とした.主記憶装置は4キロバイトと8キロバイトの2種類が用意され,サイクル・タイムは1.5μsである.ディスク装置は,両面で0.7メガバイトの交換可能なディスク・カートリッジを使用し,最大2台まで接続可能である.ラインプリンタの性能は,150/300行/分(110/63文字種)であるが,コスト低減のために,印字ハンマを半減し,用紙を左右にシャトルして印字する方式とした.このコンピュータは,メインフレームの最小モデルとしての役割と,日常のオフィス業務をPOPシステムによって簡便に処理可能としたことにより,オフィスコンピュータとしての役割とを併せて持つ同社で初めてのシステムである.


  
HITAC-8100