【日本電気】 NAS-5B 郵便番号自動読取区分機第一世代

公開日:2015年6月1日
最終更新日: 2023年8月23日

郵便番号自動読取区分機NAS-5は1968年(昭和43年)に日本電気で開発され,同年10月に大宮郵便局にて実便による評価された.翌1969年(昭和44年)6月には実用機NAS-5B(区分口数100口)として新宿郵便局に納入された.下記,概要を表で示す.

郵便番号自動読取区分機NAS-5B仕様概要
項目 内容
外形寸法 本体部 幅 4,300mm×奥行 1,000mm×高さ 1,800mm
補助集積部 幅 800mm×奥行 850mm×高さ 1,150mm
判別部1 幅 1,000mm×奥行 750mm×高さ 1,300mm
判別部2 幅 750mm×奥行 850mm×高さ 1,700mm
区分口数 100口 補助集積3口
実行最大処理能力 20,000通/時
処理対象 定形郵便物:長さ 140~235mm 幅 90~120mm 厚さ 0.2~6.0mm
読取対象 郵便番号上3桁  注:当時の郵便番号は上3桁・下2桁の5桁
所要電源 AC200V 3相4線式
消費電力 12KVA

【郵便区分機の歴史】

1968年(昭和43年)に郵便番号3桁を読取り,あて先の郵便局ごとに仕分ける差し立て区分機を開発した.1980年頃からは,あて先ラベルなどに印字された郵便番号の読取も可能になり,手書き・印刷活字の混在郵便物の郵便番号の読取を実現した(NAS-80シリーズ).1989年には,独自に開発した多段弾性照合法と住所認識処理を駆使し,自由手書き文字によるあて先住所の読取を実現した(NAS-88シリーズ).さらに,1994年からあて先住所の細部まで読み取るため,一般学習ベクトル量子化法(GLVQ)や住所文字タグ法などによる高精度郵便OCRの開発を行い,町名・丁目番地だけでなく,集合住宅名・部屋番号まで高精度に読み取ることが可能になった.

《注》
多段弾性照合法:文字の方向特徴とぼかし・ずらしを活用し,動的計画法による伸縮整合を行う個別文字認識手法
一般学習ベクトル量子化法(GLVQ):文字や図形を識別するための文字認識辞書(標準パタン)を自動的に作成するための日本電気独自の手法
住所文字タグ法:文字・へん・つくりを基本単位とした文字切出候補と知識処理を用いた住所識別方式


 
NAS-5B郵便区分機の歴史 

OCRの解説文では,一般社団法人電子情報技術産業協会発行の「OCRカタログ用語集(第2版)」の用語を使用しています.各用語の意味については,本用語集をご参照ください.