【日立】 HITAC T-550/47・27 OCRシステムおよびHT-417XシリーズOCR

1984年3月発表のHITAC T-550/47 OCRシステムは,制御部,文字認識部,スキャナ部のすべてを机の上に置くことを前提に設計された国内初の卓上設置型OCRである.1台で入金票,検針票などの大量に発生する小形帳票(ターンアラウンド帳票)を高速に読み取れるドキュメントリーダ機能と小形~大形帳票までさまざまな各種一般伝票を読み取れるページリーダ機能を兼ね備えた1台2役のOCR.幅広いアプリケーションに適用可能である.

たとえば,保険業界での契約申込書入力,市役所等での納税通知書入力,流通業界での配送伝票入力等で,支店/支社,営業店へのOCRの大量導入が始まり,設置場所の制約等から,コンパクトで高性能なOCRニーズに対応した.OCR帳票を原帳票とほぼ同一サイズ,同一フォーマットで作成できるよう,文字枠を小型化し,最もよく使われる数字項目については,表形式枠を使った帳票設計も可能にしている.

T-550/47・27 OCRの諸元
読み取り文字 OCR-Bフォント(数字,英字,記号),ドット英数字,407フォント
手書き文字:数字,英字,片仮名,記号
取り扱う帳票 T-550/47:A8~B4縦長,55~135kg紙,赤系ドロップアウトカラー
T-550/27:A8~B4,45~135kg紙,赤青両系統ドロップアウトカラー
処理速度 ドキュメントモード
T-550/47:最大約220枚/分(A8・手書き10字)
T-550/27:最大約110枚/分(A8・手書き10字)
ページモード
T-550/47:約25枚/分(A5・手書き100字)
T-550/27:約20枚/分(A5・手書き100字)
発売開始時期 T-550/47:1984年3月,T-550/27:1984年11月

1984年11月には,ページリーダとしての機能を強化した下位機種HITAC T-550/27 OCRシステムを発表.ドキュメントモードでの処理速度を最高約110枚/分(A8・手書き10字)と半減させたが,縦長帳票に加えて,横長帳票の読み取りも可能にし,ドロップアウトカラーも赤青両系統を使用可能とした.さらに,45kg紙の薄紙利用を可能にし,複写帳票での利用範囲を向上させた.

1985年9月には,パーソナルワークステーション2020に接続して使用できるWorkstation OCR HT-4171を発売.営業所や窓口設置に適したトップクラスの小型化を実現した.

また,1989年4月にHT-4175/4176を発売した.これは,クリエイティブワークステーション2050/32に接続するWorkstation OCRである.ページリーダおよびドキュメントリーダの1台2役で利用でき,ともにトップクラスの性能を持っていた.特にドキュメントリーダとしては,国内最高速の約250枚/分を実現していた.さらに,LBP(レーザビームプリンタ)や手書きで作成した黒線・表形式枠帳票の読み取りを支援しており,不定形業務のOCR化を容易に実現可能とした.

HT-4175/4176の手書き漢字読み取りでは,最も強いニーズを持つ住所や氏名入力などで認識対象文字種が多く,段階的絞り込みなどによる効率的な認識手法が必要となっている.これに対応した階層的特徴構造整合法を独自に開発し,常用漢字に,人名,地名に良く使われる漢字等を加え,実用上十分と考える約2,400文字種の手書き漢字読み取りを可能にした.


HITAC T-550/47・27 OCRシステム
(国内初の卓上設置型OCRシステム)
WorkstationOCR HT-4171
(ワークステーションと連携するコンパクトOCR)
WorkstationOCR HT-4171
(ワークステーションと連携するコンパクトOCR)
  
WorkstationOCR HT-4175/4176
(黒線・表形式枠帳票の読取りを実現した汎用OCR)
  

OCRの解説文では,一般社団法人電子情報技術産業協会発行の「OCRカタログ用語集(第2版)」の用語を使用しています.各用語の意味については,本用語集をご参照ください.