より高度なシステム需要向けに国産最高性能を持つスーパーミニコンMELCOM70シリーズ モデル60から,廉価なコンポーネント需要向けにCPUを1枚の基板に納めたボードミニコンMELCOM70シリーズ モデルLまでをシリーズ化した三菱電機のミニコンである.
モデル60では,メモリの32ビット読み出し,2ウェイメモリインタリーブ,スプリットサイクル方式のメモリバス,キャッシュメモリ(8Kバイト,150n秒),32/64ビットの演算ユニット,および,命令の3レベルパイプライン制御などにより,CPUおよび入出力チャネルの性能向上を図った.論理アドレスは,16ビットと23ビットの2形式があり,それぞれ,マップアドレス変換およびテーブルアドレス変換による動的アドレス変換を行っている.さらに,システム制御プロセッサによるマイクロ診断機能の充実と遠隔診断,ECCメモリによる1ビット誤り自動修正,命令再試行などによるRAS機能の充実,ならびに,遠隔起動や自動電源オフなどの自動運転機能などによる操作性の向上も図っている.
モデルLでは,三菱電機LSI開発センターで開発した高速・高集積MOSゲートアレーLSIの採用により,CPU(演算処理部,割り込み処理部,メモリ制御部,および,入出力制御部を含む)を,310mm×290mmの基板1枚に実装した.
モデル40およびモデル30は,モデル60の技術を活用した中位ミニコンである.
モデル10は,モデルLの技術を活用した三菱電機のコンポーネントミニコンである.
OSは,上位モデルでは,リアルタイム,タイムシェアリング,トランザクション,バッチ,およびネットワークの各処理を並行処理できる5次元多重OSであるUOS(Universal Operating System)を,下位モデルでは,BDOS(Batch Disk Operating System)とRTMS(Real Time Operating System)を提供している.
モデル60 | モデル40 | モデル30 | モデル10 | モデルL | |||
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発表時期 | 1978年9月 | 1979年1月 | 1978年9月 | ||||
主記憶 | 語長 |
32bit+ 7ECC bit |
16bit+2パリティ | ||||
サイクルタイム | 600ns/4B | 550ns/2B | 600ns/2B | ||||
最大記憶容量 | 2MB | 512KB | 256KB | 128KB | |||
演算制御部 | マイクロプログラム制御方式 |
80bit 水平型 |
48bit垂直型 | 24bit垂直型 | |||
加減算時間 | 固定小数点 | 0.25μs | 0.75μs | 4.6μs | |||
浮動小数点 | 1.5μs | 2.5μs | 12.4μs | 32.25μs | |||
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