【新興製作所】 漢字テレプリンタSC-4形,SCK-201形

1955年に漢字テレプリンタを朝日新聞社と共同開発した新興製作所は,その成果をもとに1958年,漢字テレプリンタSC-4形漢字鍵盤さん孔機およびSC-4形漢字印刷翻訳機(プリンタ)を我が国で初めて製品化した.SCK-201形漢字鍵盤さん孔機は1968年に開発された可搬型の小型軽量機である.

1954年以前の日本の情報通信は,かな文字を主体とした「かな印刷電信」であった.しかし,日本語には同音異義語が多いため,「かな」から漢字に翻訳する時のミスも多かった.伝書鳩による原稿送付も行われていた当時の新聞業界からは,正確な通信のための「漢字かな混じり印刷電信」の実現が強く期待されていた.そのため,日本語文の電信送信・印字用の漢字テレプリンタあるいは漢字テレタイプの研究が各所で行われていた.
    
このような状況の下で製品化された漢字テレプリンタSC-4形漢字鍵盤さん孔機およびSC-4形漢字印刷翻訳機(プリンタ)は,報道機関の情報通信のスピード向上と新聞紙面制作の機械化に大きく貢献すると共に,送られた通信データを自動的に活字に組み上げることも可能にした.そのため新聞社各社は漢字テレプリンタを競って導入し,新聞業界に広く普及することとなった.

新興製作所の漢字テレプリンタは,東京オリンピック(1964年)でNTTやKDDのシステムに使用された.1967年に開発された同社の携帯型SCK-100漢字キーボードは,メキシコ五輪や月面着陸アポロ報道に使用された.これらの実績をもとに1968年に小型軽量で可搬型のSCK-201形漢字鍵盤さん孔機が開発された.1975年頃にはマイコン制御のSCK200F形漢字入力装置が開発された.

漢字テレプリンタは,多段キーボードのシフト方式(多段シフト方式)により漢字入出力機能を初めて実現したものであり,日本語入出力機器として当時重要な役割を果たした.報道機関や官公庁,印刷業界,生命保険会社等で広く使用されるようなり,ワープロが登場するまでの約30年間にわたり我が国の日本語文化を通信機器の面から支えた.漢字テレプリンタは現在の日本語ワープロの前身と言われている.

ちなみに,SCK-201形漢字鍵盤さん孔機の多段シフト方式は,キーボードの1つのキーに12文字(3列×4行)を割り当て,全部で192個(24列×8行)のキーを配置することで,2,304文字を扱うことができた.右手で192個の文字群キーを選択し,左手でキー内の文字位置を選択する方法であった.入力した漢字カナ混じりの電文は6単位2列に符号化され,さん孔テープを介して相手側に送信され,受信側の漢字印刷翻訳機(プリンタ)で印刷された.

 
SCK-201形漢字鍵盤さん孔機