1998年10月,日本電気より,複数のプリントコントローラを搭載するマルチコントローラ方式を採用することにより,超高速印刷を実現したネットワーク対応のレーザプリンタ2機種が発表された.これらは,最大で4コントローラに対応し,A4判用紙で最高毎分62頁の印刷が可能なマルチライタ6050および2コントローラにより最高毎分40頁の印刷が可能なマルチライタ4050の2機種であった.大量部数の高速印刷ができるうえ,ランニングコストの低減をはかっており,従来プリンタで出力した原稿をコピー機で必要部数複写していた作業の代わりに,プリンタから必要部数をオリジナル品質で,直接高速で出力するのに適していた.加えて,印刷した用紙の仕分けやオプションの装着により,大容量排紙,ホチキス止めなどの後処理機能を有していた.主な特長は以下の通りであった.
(1) | マルチコントローラによる高速処理および柔軟性の実現 複数の64bit RISC CPUを使用したコントローラ「マルチコトローラ」の搭載により,印刷データを同時に並列処理することが可能なため,高速印刷可能であった.また,マルチライタ6050においては,より複雑なデータ処理を必要とする業務に合わせ,プリントコントローラを最大4個まで拡張することができ,印刷業務における更なる高速化ニーズにも柔軟に対応可能であった. |
(2) | 豊富な用紙ハンドリング マルチライタ6050では,A4用紙を縦横交互に仕分け出力するジョブ・セパレート機能を標準装備,また,オプションのフィニシャの装着により,最大2,100枚までの排紙をはじめ,3形態のホチキス止めを可能とする「マルチステープル機能」,レーザプリンタとしては国内で初めてのZ折り・袋折り・折り目付けを実現する「紙折り機能」,ファイル用のパンチホールをあける「穴あけ機能」を提供していた.マルチライタ4050では,左右にずらして仕分け出力を行う「オフセット排紙機能」を標準装備し,オプションのフィニッシャを装着することにより,最大2,510枚までの排紙や,ホチキス止めを行う「ステープル機能」も提供していた. |
(3) | 低ランニングコスト 1枚あたりのトナーコストはマルチライタ6050が2.2円,「マルチライタ4050」が2.5円であった. |
(4) | 高耐久性 マルチライタ6050は,A4用紙で500万枚まで,「マルチライタ4050」はA4用紙で150万枚まで印刷可能な高耐久性を実現していた. |
(5) | 100BASE-TX/10BASE-Tのインタフェースに標準対応 LANボード(TCP/IP)を標準装備しているため,追加投資をすることなく高速ネットワーク環境に接続可能であった. |