電電公社(現NTT)の研究所では,一層の高速化による価格性能比の向上をねらいとして,1975年より高速化の基本となる印字ハンマ機構および用紙処理機構について検討を進め,1976年に1,500 行/分の装置の部分試作行い,1977年に完成した.
印字ハンマ機構については,高速化による印字品質の低下を防ぐためハンマの軽量化とその駆動法について検討した.前者については,ハンマ形状に関する応力解析とともに軽量材料として密度が極めて小さく,比強度に優れるチタン合金の採用とその加工法の研究により従来の約1/2 の質量の高信頼度な軽量ハンマを実現した.後者については駆動マグネットの高能率,高速駆動とともに放熱特性の向上による動作時間の安定な機構を開発した.
また,用紙処理機構については,用紙の曲げ振動特性を考慮したサーボモータ正弦波駆動による高速で安定な折りたたみ機構を開発した.
本装置は,当時の世界最高速度の印刷性能を有しており,DIPS 周辺用の主要装置として各種システムに採用された.