新たな製造方法による活字ドラムと実効印刷速度の向上を図るフラグビット制御方式を採用して高速印刷を実現した富士通信機製造(現富士通)のラインプリンタ.同社は,一貫して活字ドラム方式のラインプリンタを開発してきたが,その技術がFACOM 642プリンタにて結実し,1966年3月に完成した.つまり,性能・信頼度などすべての点で機械式プリンタとして当時としては,最高級のレベルを実現した.本装置は,以下の特長を有した.
- 1) 活字ドラムの回転速度の高速化,紙送り速度の高速化とフラグビット制御方式の採用により最高印刷速度 毎分1,500行(16字種印刷時)を実現
- 2) 高度の信頼性と動作の安定性を実現
- 3) フォトエッチング法と活字表面の特殊仕上げによる高精度・長寿命の活字ドラム,高精度仕上げで低摩擦のプリントハンマ機構,均一な動作特性を有するハンママグネットなどの採用により,読み易くきれいな印字品質を実現
- 4) 1行印字桁数を136桁とし,活字種を最大128種まで実装可能としたこと,活字ドラム上の文字セットの配列を多種業務に適合するように工夫したこと,フラグビット制御方式の採用により一行の印字の完了を早期に検出するなどで高速印刷を実現し,標準活字ドラムで各種業務への広範な適用を可能とした
- 5) 当時,ラインプリンタで印刷した伝票を流通現場などに配布し,業務の経過に合わせて回収し,OCR(光学文字読取:Optical Character Reader)装置で読み取って再度計算機に入力する要求が高まっていたが,この高精度の活字ドラムで初めてOCR文字の印刷を可能とした
FACOM 642A,FACOM 642K | FACOM 642B,FACOM 642L | |
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完成時期 | FACOM 642A/B 1966年3月, FACOM 642K/L 1968年3月 | |
印刷方式 | 活字ドラム方式 | |
印刷速度 |
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文字種 |
62字種:数字(10),アルファベット(26), 記号(26) |
109字種:数字(10),アルファベット(26), 記号(26),カナ(47) |
印字桁数 | 136桁/行 | |
接続機種 |
A:FACOM 230-50以下のシステム K:FACOM 230-60システム |
B:FACOM 230-50以下のシステム L:FACOM 230-60システム |