富士通信機製造(現富士通)の初の光電式カードリーダである.コンピュータがリレー式からトランジスタ式に進歩し,計算速度が飛躍的に向上したため入出力装置に対する速度向上の要求が高まっていた.従来,さん孔カードの読取装置としては,ピンまたはブラシによる接点の開閉でさん孔位置を読み取っていたが,機械式のため読取速度が遅く,また,接点の接触不良による誤読取が多かった.1959年頃に,光電素子を使用し,高速かつ正確にIBMカードの情報を読み取ることを可能にした光電式カードリーダR-301Aが開発された.本装置は,以下の特徴を有した.
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(1)読取速度を向上させるためカードを横方向に送り,毎分300枚の高速読み取りを実現
(毎分500枚の読み取りの実力があった) - (2)卓上形の読取機構部と自立形の制御部の2つの部分で構成
- (3)計算機本体からの読取指令により,カード情報をバッファレジスタ(容量60桁)に格納,読出指令により,バッファレジスタのデータをコード変換して1桁単位に本体に転送
- (4)60桁にデータを抑えるため,プラグボードにより80桁の情報変換や80桁の内の必要部分の選択を指定
- (5)バッファレジスタにはフェライトコアが使用され,その駆動および制御は真空管によって構成
- (6)700枚のカードホッパ容量を有し,下側のカードから読み取るが,スタッカ部にカードが一杯になったら自動的にカード送りを停止し,カードの破損を防止
本カードリーダがどの機種に接続されたかはっきりしないが,制御装置FACOM 933を介して事務用計算機FACOM 212A(パラメトロン式)に接続されたと推測される.