電電公社(現NTT)の研究所では,1971年に入りDIPS-1センタ装置の一層の高性能化が要請され,その一環として,301形磁気ドラム記憶装置の研究実用化に着手した.この磁気ドラムは,主記憶と磁気ディスク記憶装置との間のアクセスギャップを埋める高速補助記憶としての適用をねらいとするもので,高密度,大容量,高速化を開発の指針とし,小型,低電力消費で,経済性に優れた磁気ドラム装置を実用化することとした.
記録媒体の高分解能化,浮動ヘッドの高精度化,ドラム回転の高速化等を進め,1977年には,記録密度140bit/mm,記憶容量15MB,データ転送速度11.6Mbit/秒,平均アクセス時間5ミリ秒,回転数6000回転/分の世界最高水準の性能を有する301形磁気ドラム装置(JS4160形)を実用化した.この301形磁気ドラム装置は銀行システムや科学技術計算システム等における高速補助記憶装置として広く使用された.