磁気ドラムは平均アクセスタイムが短く,記録されたデータの誤り率も小さいなどの特徴があり広く使われてきた.本機は平均アクセスタイムを更に短くし,記憶容量も大幅に上げることを目的にHITAC Mシリーズ用の磁気ドラム装置として1975年に製品化した.
ドラムの回転数を従来の毎分3,000回転から2倍の6,000回転に上げて平均アクセスタイムを5.3msと半減した.記憶容量も浮動ヘッドと媒体間のスペーシングを約1 μmに半減するなどして高密度化し,トラック密度も上げて約4倍の15 MB(メガバイト)と大幅な大容量化を実現した.またデータ転送速度も毎秒12メガビットと高速で,この磁気ドラムとしては当時世界最高の性能を達成した.
尚,本磁気ドラムは電電公社と日立製作所との共同研究により開発された製品で,電電公社データ通信システムにも使用されている.
装置形名 | H-8575 | |
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完成時期 | 1975年 | |
ヘッド方式 | 浮動ヘッド | |
ヘッド浮上量 | 1.0 μm | |
記憶容量 | 15 MB | |
記録方式 | NRZ-I記録方式(8/9ビット変換) | |
平均アクセスタイム | 5.3 ms | |
データ転送速度 | 12 Mbit/秒 | |
ドラム | 使用ユニット名 | FV-2540F |
トラック数 | 1,024 | |
回転数 | 6,000 rpm | |
回転体寸法 | 250 φ×420 mm | |
記録密度 | 156 bit/mm | |
接続システム |
電子交換機/DIPS/ 加入データ通信システム 座席予約システム HITAC-Mシリーズ |