本磁気ドラムは浮動ヘッド方式を採用した当時国産最高性能の磁気ドラムでHITAC-8000シリーズ用の磁気ドラム記憶装置として1968年に製品化した.
日立では1959年に固定ヘッド方式の磁気ドラムを開発して以来,記憶容量の高密度化を図って来たが,新しい浮動ヘッド方式の採用で回転体表面の媒体と磁気ヘッドとのスペーシングを固定ヘッドの約六分の一の5μm程度までに狭めることが出来,容量も約六倍の2 MB(メガバイト)を達成した.特に新方式の浮動ヘッドには安定した浮上特性が得られる双胴形平面スライダーを用い,かつ4マルチトラック構造を採用して実装密度も上げている.この磁気ドラム記憶装置は一つの装置に2 MBの磁気ドラムを最大4台まで接続できる構成となっている.
磁気ドラムは平均アクセスタイム(本機は10.3 ms)が非常に短いこと,性能がきわめて安定していて誤りが少ないなどの特徴があり,大型高速電子計算機に主に使われて来たが,大容量化に伴い新しい分野にも広く応用されることになった.
尚,本磁気ドラムは電電公社と日立製作所の共同研究の成果を利用した製品である.
装置形名 | H-8566 | |
---|---|---|
完成時期 | 1968年 | |
ヘッド方式 | 浮動ヘッド | |
ヘッド浮上量 | 5 μm | |
記憶容量 | 2 MB | |
記録方式 | TM記録方式 | |
平均アクセスタイム | 10.3 ms | |
データ転送速度 | 1.4 Mbit/秒 | |
ドラム | 使用ユニット名 | --- |
トラック数 | 512 | |
回転数 | 3,000 rpm | |
回転体寸法 | 360 φ×470 mm | |
記録密度 | 25 bit/mm | |
接続システム |
電子交換機システム 座席予約システム HITAC-8000シリーズ |