FACOM 628は,富士通の中型汎用コンピュータFACOM 230-25およびFACOM 230-35用に新たに開発された高性能磁気ドラム装置であり,1969年に完成した.当時,ファイル装置としては,磁気ディスクパック装置,磁気テープ装置,磁気カード装置があり,それぞれの特長を生かして組み合わせて使用された.その中で,磁気ドラム装置は,記憶容量が比較的大きく,アクセスタイムが短く,機構部の構造上から信頼性に優れていたため,主記憶の補助記憶装置用などシステムファイル用として使用された.
FACOM 628には容量の異なる3種類があり,以下の特長を有した.
- (1) 2トラック分のヘッドを1つのモジュールに収納し,ヘッドの浮上性を安定にするとともに取付工数の減少を図った.
- (2) ヘッド面とドラム表面との間隔を狭め,ビット密度を高めた.
- (3) 制御回路に大幅にICを採用し,信頼性の向上と装置の小型化を図った.
- (4) 装置の外形寸法を変えることなく従来の磁気ドラム装置に比べて2倍の性能を実現した.
FACOM 628K | FACOM 628L | FACOM 628R | ||
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完成時期 | 1969年 | |||
記憶容量 | 262,144バイト | 524,288バイト | 1,048,576バイト | |
平均アクセスタイム | 10 ms(50Hz)/8.4 ms(60Hz) | |||
データ転送速度 | 225 KB/秒(50Hz)/269 KB/秒(60Hz) | |||
ドラム | トラック数 | 64 | 128 | 256 |
回転数 | 3,000 rpm(50Hz)/3,600 rpm(60Hz) | |||
回転体寸法 | 250φ×220 mm (アルミニウムの円筒にNi-Coメッキ) | |||
トラックピッチ | 0.6 mm | |||
接続システム | FACOM 230-25,FACOM 230-35 |