1990年に発売された2.5インチ小型磁気ディスク装置で,東芝として初の2.5インチ製品であった.当時ラップトップPCやノートPCが各社から発売されており,より小型で,より大記憶容量の磁気ディスク装置へのニーズが高まっていた.
従来の磁気ディスクでは,ディスク基板材としてAl合金が用いられていたが,ラップトップPCやノートへの搭載を想定していたMK1122FCでは,Al合金よりも耐衝撃性に優れるガラス基板を採用した.最初の量産磁気ディスクへのガラス基板採用は,2000年にIBMから発売されたDeskstar DTLA-307020であるとする解説が多いが,実際には,この1990年のMK1122FCが第1号である(「改めてHDD用媒体の基板材特性を比較する」岡本康弘 IDEMA Japan News No.59(2004),および,「小型・大容量HDDの開発動向」東芝レビュー Vol.60 No.12(2005) pp2-6).
薄膜ヘッドの採用や強力な抗磁力を持つ磁性体材の採用により,従来機種に比べて,3〜4倍の記録密度を達成し,43メガバイトの記憶容量を実現した.また,高速動作が可能な小型ロータリーボイスコールモーターの採用やヘッド部を支えるキャリッジの軽量化とバランスの最適化により,平均シーク時間を23msに上げることができた.ラップトップPCやノートPC搭載では,強く要求される低消費電力化は,設定した時間を経過するとスピンドルモーターをオフ状態にするなどのパワーセーブモード制御により実現した.
記憶容量 | 43MB(フォーマット時) | |
---|---|---|
ディスク枚数 | 1 | |
平均シーク時間 | 23ms | |
回転数 | 3,200rpm |
|
データ転送速度 | バッファ転送 | 12Mbps |
ホスト転送 | 5MB/秒 | |
バッファサイズ | 32KB | |
インタフェース | PC/AT | |
外形寸法 | 厚さ17×幅70×奥行100 mm | |
重さ | 180g |