【富士通】 M2915磁気ディスク装置

M2915は,サーバ向けとして世界に先駆けMR(Magneto-Resistive)ヘッドを搭載した磁気ディスク装置として,1994年9月に出荷が開始された.当時は5インチ型が主流であったサーバ向けとして,世界に先駆けた3.5インチ型として開発されたもので,この機種以後,同社のエンタープライズ向け3.5インチ型磁気ディスク装置はAllegro シリーズと呼ばれ,OEM市場で一定の地位を得た.

M2915は,新開発のMRヘッドと新しい信号処理方式(PR4ML(注1))を組み合わせることで,当時として最高クラスの,1平方インチ当たり250メガビット(71,627bpi,3,553tpi)の面記録密度を実現し,2.1ギガバイトの記録容量を達成した.また,7,200rpmの高速回転(同一シリーズのM2903/M2909は5,400rpm)と,平均22ミリ秒の高速アクセスを実現した.

MRヘッドの導入にあわせ,MRヘッドのリード線による外力の影響を排除し安定にヘッドを浮上させるため,支持バネ上に配線を施したCAPS(Cable Patterned Suspension)が世界に先駆けて開発されたことも特記される.MRヘッドでは従来に比べ端子数が倍増するが,当時は従来からの「より線」で配線していた.このCAPS技術は 1993の本装置を皮切りに同社の全ての磁気ディスク装置に搭載されていった.

(注1) PR4ML
信号処理方式の一種.パーシャルレスポンス(PR)を利用し波形干渉を取り除くと共に,帯域の低減によりノイズを削減し,1ビット毎でなく,2ビット毎に最も正しいと推定(ML)される信号をビタビアルゴリズムで検出する方式

  
M2915磁気ディスク装置(3.5インチMRヘッド)