【NTT】 801形磁気ディスク装置(JS4370)

電電公社(現NTT)の研究所では,101形磁気ディスクパック装置の実用化の経緯から,線記録密度1,000bit/mm(当時の実用記録密度の6倍)の実現を目標に,薄膜を含む磁気ディスクと磁気ヘッドの電磁変換,記録再生回路,ヘッド浮上機構,ポジショナ機構,実装などの研究を1974年から本格化した.

磁気ディスク装置の大容量化への要求は極めて急で,1976年に大容量磁気ディスク装置の本格的検討に着手し,1978年には記憶容量800MB/スピンドルの801形(JS4370)磁気ディスク装置を実用化した.本装置は以下の特長を持つ.

1) 薄層の塗布形磁気ディスクと小型・高感度のモノリシック形磁気ヘッドの開発により,線記録密度340bit/mm,トラック密度26tr/mm,面記録密度9kbit/m2(従来の4倍)を達成.
2) 長さ 4.6mmの小型浮動ヘッドスライダーにより浮上すきま0.36μmを実現.
3) 可動部質量650gのポジショナを開発し,位置決め制御±1.5μmの高精度を実現.
4) 高速のポジショナシークにより,平均シーク時間 20ミリ秒を実現.
5) 余弦等化を用いた再生回路の開発により,データ転送速度1.344MB/秒,信号検出マージン40%以上を実現.

  
800MB/スピンドルという世界最大の記憶容量を持つ磁気ディスク記憶装置