日本電気は1982年11月,2.68GBの大容量固定磁気ディスク装置N7761を発売した.初出荷は1983年12月.
本装置は,磁気記録媒体の進歩に伴い,国産初の薄膜磁気ヘッドの採用,最小磁化反転がMFM(Modified Frequency Modulation)の1.5倍となる2-7RLL(Run Length Limited)符号の採用等により,高記録密度化している.その結果,14インチディスク媒体枚数を従来機種の8枚から5枚に減らして同等のスピンドル当たり記憶容量672メガバイトを実現し,このHDA(Head Disk Assembly) 4台により総記憶容量2.68ギガバイトの磁気ディスク装置を構成している.
また,両端軸受け構造による低振動化,可変コーナ周波数微分器やフィードフォワード速度制御等サーボ系の改善により平均シークタイム16msを実現し,また媒体の高記録密度化と薄膜ヘッド採用,ECL回路の採用等電子回路の改善によりデータ転送速度3.0メガバイト/秒を実現している.
日本電気は1985年9月,N7761のさらに大容量機として記憶容量を5.37ギガバイトと倍増した固定磁気ディスク装置N7765を発表した.初出荷は1986年9月.
本装置はN7761に対し,薄膜ヘッド,塗布型記録媒体,位置決め機構等の改良によりトラック密度を1.5倍に,またディスク枚数を若干増加することによって,総記憶容量を2倍としている.
N7761とN7765の外観はほぼ同等である.
型名 | N7761 | N7765 |
---|---|---|
記憶容量(MB) | 672 | 1344 |
平均シークタイム(msec) | 16 | 17 |
平均回転待ち時間(ms) | 8.3 | |
データ転送速度(MB/s) | 3.0 | |
ディスク径(inch) | 14 | |
ディスク枚数 | 5 | 6 |
ヘッド数(情報記録部) | 16 | 19 |
シリンダ数 (( )内は交替用) | 885+(2) | 1491+(4) |
記録密度(bpi) | 15300 | 16100 |
トラック密度(tpi) | 800 | 1200 |
記録方式 | 2-7RLL | |
回転数(rpm) | 3620 | |
総記憶容量(GB)(装置全体) | 2.68 | 5.37 |
装置寸法(mm) (装置全体) | 1455(W)×800(D)×1790(H) |