【三菱電機】 M-811 磁気ディスク装置

三菱電機の最初の固定ヘッド磁気ディスク装置であり,1968年に発表された.浮動ヘッドの導入と機構の簡易化により,きわめて低廉で高信頼度を実現しており,オフコン,ミニコンなどの小形計算機を初め,自動テスタなどに利用された.

この装置は,以下の特長を持っていた.

  • 浮動ヘッドがディスクによく追随し,相対ギャップを一定に保つための温度管理が不要.
  • トラックごとにヘッドを設けてあるため,アクセス・タイムが短い.
  • 小形軽量ながら,27万ビットまたは54万ビットを記憶でき,ビット・コストも低廉.
  • ディスクおよびヘッドは硬質の保護皮膜を有し,また密閉構造で防塵を行ない,全部品に耐蝕処理を行なうことにより,長期間の使用に耐えられる.
M-811 磁気ディスク装置の主な仕様
  M-811-1 M-811-2
記憶容量 266,240ビット 532,480ビット
トラック容量 8,320ビット 8,320ビット
記録方式 NRZ方式またはPM方式
データトラック数 32 64
タイミングトラック数 4 4
磁気円板 8インチ1面 8インチ2面
ディスク回転数 3,000/3,600rpm
回転待ち時間 平均10/8.3ミリ秒
データ転送速度 416/499Kビット/秒
外形寸法(直径×高さ) 256mm×250mm
質量 15kg

1972年,三菱電機は,このシリーズとして,記憶容量が10万ビットのM-810,100万ビットのM-814,および,200万ビットのM-824を発表した.M-810は,6インチの磁気円板を使用して直径200mmと小形化したもの,M-814は,8インチの磁気円板を使用し,トラック容量を16,650ビットに増大させたもの,M-824は,12インチの磁気円板を使用し,トラック容量を33,250ビットに増大させたものであった.


 
M-811 磁気ディスク装置M-814 磁気ディスク装置