三菱電機が1975年に発表した中容量交換型磁気ディスク装置で,M836やM2837等の大容量交換型磁気ディスク記憶装置と共通の高密度記録再生技術を採用しながら,優れた価格性能比を実現した.これは,COSMOシリーズの中下位機や,オフィスコンピュータ,ミニコンピュータのデータファイルとして使用された.
この装置は,以下の特長を持っていた.
- ディスクパックの円板を5枚にして,上下カバーを含めて5kgと軽量化し,取り扱いを容易にすると共に,安価にしている.
- 位置決め方式は,ボイスコイル形直流リニア・モータを使用した閉ループトラック追従サーボ方式で,高精度,高速位置決めを達成し,小形ながら50メガバイトを実現している.
- 0.3μm以上の塵埃を99.9985%除去した空気でディスクパックを冷却し,かつ,この空気でキャリッジウェイの防塵を行ない,リニア・モータのコイルも冷却する合理的な防塵・冷却系を構成している.
- 各機能がユニット化され,メンテナンス時には前後左右よりアクセス可能で,かつ,自己診断機能を有している.
- 100メガバイト,200メガバイトの大容量磁気ディスク記憶装置と共通のコントローラを使用している.
- ディスクパックが回転中は,危険防止とデータ破損防止のため,また,電源OFF時は,塵埃混入防止のため,共にインタロックが働くようになっている.
- 1スピンドル/1箱体構造で増設,保守が容易である.
装置記憶容量 | 54.3MB |
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位置決め時間 | 最小10ms,最大55ms,平均30ms |
回転数 | 3,600rpm |
記録方式 | MFM方式 |
ビット密度 | 4,040bit/inch |
トラック密度 | 370トラック/inch |
データ転送速度 | 806KB/s |
外形寸法(高×幅×奥) | 800mm×500mm×900mm |
質量 | 150kg |
1978年には,ビット密度を1.5倍の6,060ビット/インチに高密度化することにより,82.1MBの記憶容量を実現したM2851F を発表した.