【日立】 DK312C磁気ディスク装置

本装置は,3.5インチ径の円板で高密度記録を実現する為,スパッタディスクとメタルインギャップのヘッドを使用し,またヘッド位置決めサーボにエンベッディッドセクタサーボ方式を採用した.本方式は,当時いくつかのメーカで採用が始まっていた.日立では本方式をこのDKC312Cで初めて使用し,従来のサーボ面を使用するサーボ方式に比して,精度を大幅に向上させた.
エンベッディッドセクタサーボ方式はデータトラックの一部にサーボ信号を記録し,そこで検出される離散的な位置情報を使用してディジタルサーボ制御技術にてヘッド位置決めを行なうものである.本方式は,その後のヘッド位置決め技術の主流となっており,まさにエポックメーキングな技術として高く評価された.なお,DK312CはOEM向けであり,インタフェースには3.5インチHDDの主流であるSCSi方式が採用された.

DK312C 磁気ディスク装置 諸元
完成時期 1989年
スピンドル当り記憶容量 250MB
BPI 38.8KBPI
TPI 1.7KTPI
面記録密度 40Mbit/inch²
円板サイズ/枚数 3.5inch/6枚³
ヘッドタイプ/アクチュエータ当り本数 軽荷重MIG/12本
平均アクセス時間 リード時:16ms ライト時:20ms
ディスク回転数 3,600rpm
データ転送速度 1.77MB/s

  
DK312C 磁気ディスク装置