【富士通】 M2235 磁気ディスク装置

M2235磁気ディスク装置は,富士通の直径5.25インチの媒体を採用したOEM向け磁気ディスク装置で1983年10月に完成した.

当時,オフィスシステムにおいて,漢字,図形,音声,画像処理など高度なインテリジェンス機能の付加によって,ミニフロッピーディスク装置では,容量・スピードとも不足となり,小形で廉価な高性能ファイルが強く望まれていた.このような情勢の中で,外形寸法,取付寸法,電圧条件などについてミニフロッピーディスク装置と整合性を重視した5.25インチディスク装置が開発された.同社では8インチディスクの技術を基に,M223xシリーズ磁気ディスク装置(当時はマイクロディスクと呼ばれた)を開発した.本装置には,1982年6月に完成したディスクを2枚および3枚使用したM2231(2枚,6.6MB),M2232(3枚,10MB)と,シリンダ数を2倍にしたM2230(1枚,6.6MB),M2233(2枚,13.3MB),M2234(3枚,20MB),M2235(4枚,26.6MB)の6種類のディスク装置があり,以下の特長を有した.

1) 外形寸法,取付寸法をミニフロッピーディスク装置と互換とした
スピンドル回転用にダイレクトドライブDCモータの採用,磁気ヘッドの駆動にはステッピングモータの採用などにより機構部の簡素化と小形化を実現
2) 2種類のインターフェースを提供
ASタイプでは業界標準のST506(Seagate) インターフェースを採用.Bタイプでは8インチディスクで使われているSA4000インターフェースを採用し,容易な8インチディスクの置き換えや8インチディスクと混在接続による柔軟な構成を可能にした.
3) 新開発のM1052Aマイクロディスクコントローラ(M223xに直接取付可能)によりSCSIを提供

同社の5.25インチディスクは,Hummingシリーズと呼ばれ,1990年4月に完成した第6世代のHumming-6では,初代のHumming-1の約44倍の記憶容量を実現した.

5.25インチディスク装置 主要機種諸元
機種 M2235
Humming
-1
M2243
Humming
-2
M2246
Humming
-3
M2249
Humming
-4
M2263
Humming
-5
M2266
Humming
-6
完成時期 1983年
10月
1984年
5月
1985年
10月
1987年
10月
1988年
8月
1990年
4月
記憶容量/装置
(MB)
26.6 86.4 171.7 389 778 1,165
データ転送速度
(MB/s)
0.625 1.25 1.8 3
平均ポジショニング時間 85 ms 33 ms 25 ms 18 ms 16 ms 14 ms
ディスク回転数 3,600 rpm
平均回転待時間 8.4 ms
ディスクの枚数 4 6 8
接続
インターフェース
ST506,SA4000 ESDI,SCSI
備考
  • 富士通初の5.25インチディスク
  • VCM採用
  • MIG
    (Metal In Gap)ヘッドの採用

M2235 磁気ディスク装置
装置の外観.
M2235 磁気ディスク装置
制御部のプリント板が見える.
M2235 磁気ディスク装置
ディスク円板とヘッド部が見える.