FACOM 631は,富士通の大容量磁気ディスク装置で,最初の機種のFACOM 631Aが1965年に完成した.当時,同社の磁気ディスク装置は,国産では唯一のもので,FACOM 631AとFACOM 631Bの2機種があり,主に中型汎用コンピュータFACOM 230-20およびFACOM 230-30で使用された.
FACOM 631Aのディスクモジュールは,直径66cmのディスク41枚を水平軸に配し,油圧アクチュエータで駆動する2組のアクセスアームを有した.装置は2台のディスクモジュールで構成された.アクセスアームは20本(うち4本は予備)を1組として同時に駆動する構造を採り,シリンダ容量(ポジションを移動しないで読み書き可能な容量)を大きくとれた.各アームはディスク2面をアクセスし,ディスク1面に対して2個のヘッドを設けている.ディスク面は内側のゾーンと外側側のゾーンに分かれ,それぞれ128トラックからなる.各トラックは,数個のセクタ(レコード長は256バイト)からなり,アクセスはセクタ単位で行なわれ,同一シリンダ内であれば,1バイトから任意の長さでのアクセスを可能とした.本装置にはA形とB形の2種類があるが,同一の磁気ディスク機構を採用している.
FACOM 631Aおよび631Bのトラック形式は固定長であるが,1967年に大型コンピュータFACOM 230-60用に可変長タイプのFACOM 631Kが開発されたが,トラック形式以外はFACOM 631Bと同一である.
FACOM 631A | FACOM 631B | FACOM 631K | |
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完成時期 | 1965年 | 1966年 | 1967年 |
記憶容量 | 33.5 MB | 67.1 MB | 90 MB |
トラックフォーマット | 固定長タイプ(セクタタイプ) | 可変長タイプ | |
ポジショニング時間 | 平均110 ms | ||
ディスク回転数 | 1,500 rpm | ||
平均回転待ち時間 | 20ms | ||
データ転送速度 | 56 KB/s |
内側:120 KB/s 外側:95 KB/s |
130 KB/s |
接続システム | FACOM 230-20/30 | FACOM 230-60 |