メーカ7社(沖電気,東京芝浦電気,日本電気,日立製作所,富士通信機製造,松下電器産業,三菱電機)と政府が折半で出資し,メーカのレンタル販売を代行する国策会社,日本電子計算機(JECC)を1961年8月に設立した.レンタル販売には膨大な資金が必要になるが,JECCは財政投融資,市中銀行,信託銀行,生保からの協調融資によって組織的に資金を確保した.
当時,国産メーカが日本市場で外資系企業と伍していくためには,日本IBMが採っていたレンタル販売が必要とされた.そのため,こうしたレンタル販売のための準備資金を肩代わりしてくれるJECCの存在は,開発資金確保に四苦八苦していたメーカにとって大変有益なものであった.また,ユーザが少額の負担でコンピュータを導入できるレンタル制は,それまでの売り切り制よりも,コンピュータ販売の敷居を下げる働きをした.
レンタル販売のプロセスは単純で,ユーザがレンタルを希望すると,JECCはメーカからコンピュータを買上げ,ユーザにレンタルする.1年間の拘束期間が過ぎれば,ユーザは,いつでも3カ月前通告によってレンタルバックできた.レンタルバックされたコンピュータはメーカが残存簿価で引き取ることになっている.