日立製作所は,HITAC3010/4010の後継として,HITAC2010を独自開発し,1964年に完成させた.当時は,演算が10進なら10進アドレス,2進なら2進アドレスの方式を採用し,HITAC3010/4010もこれに従っていたが,HITAC2010は2進アドレスに統一した.アドレス計算に必要な2進演算のほかに10進演算機能と字(1字=6+1ビット)を扱う機能を設け,アドレッシングの最小機能は字とした.1語を24ビットとし,4字を収容,浮動小数点演算も1字6ビットのアーキテクチャに整合させた.加減算でHITAC3010の約3倍の性能を持っていた.
しかし,1964年にIBMがシステム/360を発表し,1字を6ビットから8ビットに変更し,それをアドレッシングの最小単位にした.HITAC2010にも8ビットの文字を扱う機能も設けたが,あくまで機能の一部であり,アドレッシングの単位ではなかった.
この発表により,製品化を断念した.
2システムが試作され,1システムは日立製作所中央研究所でコンピュータ制御の研究に使用した.他の1システムは(当時の)神奈川工場でHITAC8000シリーズ大型多層バックボードのテストに数年間使用した.
写真は中央研究所で使用されたHITAC2010である.