【東芝】 TOSBAC-3100,4200

商用機として我が国で初めてALGOLコンパイラを採用し実用に供した東京芝浦電気の汎用コンピュータ.1960年に完成した.

数値は2進化10進数表現であり,浮動小数点計算をサポートした.ランダムアクセスができない磁気ドラムを主記憶装置として採用したため,アセンブラに,命令語の配置を最適化して実行時の計算速度を確保するための機能を組み込むなどの工夫を行った.TOSBAC-3100は,汎用機とはいうものの,科学技術計算を得意としており,早稲田大学教授の中島・岩崎に依託して開発されたALGOLコンパイラ(WALT)を搭載した.

一方,TOSBAC-3100と同じ回路を使用し,外部記憶装置としては磁気テープを,主記憶装置としては実用化の糸口が開かれて間もない磁気コアメモリを採用した事務計算専用コンピュータTOSBAC-4200が,1961年に開発された.開発目標として,(1)PCS(Punch Card System)で行っていた事務処理をすべて可能とする,(2)カナ文字の容易な取り扱いを実現する,ことなどを掲げ,当時日本の事務処理分野で広く導入されていたPCSの全面置き換えを狙った.1桁(数字,英字,カナ,記号1文字を表現する単位)を8ビットとしたので,制御コードなしでカナ文字が取り扱うことができた.


 
TOSBAC-3100TOSBAC-4200