高精度演算が可能な科学技術計算用の高性能コンピュータが東北大学電気通信研究所および日本電気社内より求められ,両者による大型電子計算機の共同開発が1956年にスタートした.この計算機は,東北大学所在地の仙台の地名からSENAC(Sendai Automatic Computer)と名付けられ,日本電気ではNEAC-1102と呼ばれたパラメトロン式計算機で,下記の特徴を持っている.
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	磁気ドラムを用いて1,024語の大容量記憶装置を実現
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	固定小数点演算モードと浮動小数点演算モードを,命令により切り換えられる.
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	語長が2進48桁(ビット)で演算精度が高い.
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	2組のアキュムレータと加算回路を持ち,倍長演算が容易に行える.
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	命令語が24桁で,1語に2命令格納できる.
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	5個のインデックスレジスタによるインデックス修飾ができる.
 - 先回り制御方式が採用されている.
 
SENAC-1は約9,600個のパラメトロンを使用した.日本電気で製造され東北大学には1958年3月に納入され,同年11月に稼働した.同機は日本電気が出荷した第1号の電子計算機であった.
| SENAC-1 | |
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			完成時期 | 
		1958年11月 | 
| 制御方式 | プログラム内蔵方式 | 
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			外部数値語 | 
		10進法符号+12桁,指数±38 | 
| 内部数値語 | 
			2進法48桁(bit) 仮数部:39桁+符号 指数部:8桁  | 
	
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			指令(命令) | 
		1・1/2アドレス方式,29種 | 
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			演算方式 | 
		並列,浮動小数点および固定小数点 | 
| 演算速度 | 
			加減算 平均1.4ms(0.3ms) 乗 算 平均1.2ms(1.2ms) 除 算 平均10ms(10ms) ( )内は固定小数点の場合  | 
	
| 演算用素子 | 
			パラメトロン 約9,600個 励振周波数:2MHz 断続周波数:19.5kHz  | 
	
| 内部記憶装置 | 磁気ドラム 1,024語 | 
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			入出力装置 | 
		
			テープ読取機 600字/分 テープ穿孔タイプライタ 400字/分(印字),600字/分(穿孔)  | 
	


