【日立】 HIPAC MK-1

送電線の弛度張力の計算をする目的で開発した日立における最初のディジタルコンピュータ.1957年完成.
当時のトランジスタは点接触形で,特性のばらつきが大きく,まだ生産量も少なくて高価であったのに対し,パラメトロンは安価で信頼性に優れているとの判断から,これが論理素子として採用された.記憶装置としては当時最も見通しがよいと思われた磁気ドラムが採用された.

方式設計にあたっては,EDSACやILLIACなどが参考になったが,命令アドレスによる番地変更方式や,紙テープに対して制御コードを設けてブートストラップ初期入力を容易にする方式などに独自の工夫がなされた.電源開発只見幹線の送電線弛度張力の設計に利用され,計算時間は1径間あたり約1分で,結果の印刷に約50秒要したが,同様の計算を人手でやると約7時間かかった.

*は日立製作所中央研究所に保存されている物
HIPAC MK-1 開発当時のものHIPAC MK-1 本体(*)HIPAC MK-1のパラメトロン部分(*)
HIPAC MK-1の裏面配線(*)HIPAC MK-1のパラメトロン演算ユニット用ボード(*)HIPAC MK-1のパラメトロン演算ユニット用ボード裏面(*)