【NTT】 DIPS-103-10OS タイムシェアリングシステム用オペレーティングシステム

科学技術計算システム(DEMOS)は,市販の計算機システムを利用して1971年3月に東京で商用サービスを開始したが,この種のタイムシェアリングシステム(TSS:Time Sharing System)サービスがこれを契機として続々と開始された.このような状況の下で電電公社(現NTT)のTSSサービスを維持していくにはシステムを絶えず改善し,利用しやすいサービスとしていくことが極めて重要であるとして,TSSサービスのシステム更改に着手した.

科学技術計算サービスDEMOSの内容を大幅に拡張し,機能改善を加え,DIPS-1ハードウェアを用いて商用化されたのがDEMOS-Eサービス(1972年11サービス開始)であり,その中核を構成するのがDIPS-103-10OSである.本OSはDIPS-1上の汎用OSを目的として設計された103OSをベースとして,これにDEMOS-Eサービス機能を追加したものである.

OS自体の基本的な諸概念は103OSと同様である.すなわち,本OSは,

(1)デュープレックス運転機能
(2)会話処理(TSS処理)と一括処理(リモートバッチ処理,ローカルバッチ処理)の混合処理機能
(3)処理相互間でのファイル共用処理機能

を有している.

ディスク空間の管理について,TSSサービス用には,システム公用ボリュームとしてファイルアクセスと同様にページ化ファイル方式を用い,リアルタイム処理用には,VTOC(Volume Table of Contents)を用いた私用ボリュームによるディスク管理の2つの管理方式を実現していた.また,TSS専用の会話処理専用タスク等は,103-10OSの基本機能として実現されたが,これらは後にパッケージ化されてOS純粋の機能だけに再編成されることになった.