【日本電気】 ACOS-2/EVP

日本電気は1987年7月にACOS-2/EVPを発表し,11月に出荷開始した.
CMOSフルカスタムLSIを全面採用したACOSシステム3300シリーズのオペレーティングシステムとして動作する.ディスパッチャ,記憶保護,プログラム間の通信などをファームウェア化した高度なアーキテクチャの上に,仮想記憶をそなえた基本ソフトウェアを構築して,大型機並みの拡張性を保証するとともに,コンピュータと通信との融合の中核として新しいソフトウェアを提供している.また,オフィス業務の生産性向上のための全体システムを,容易に実現できる諸機能を提供することも狙いとしている.
主な特長は次のとおりである.

(1)システム信頼性・保守性の向上
小型コンピュータ領域においても診断専用のプロサッサ(DGP:Diagnostic Processor)をサポート.DGPとリモート保守センタを回線接続したリモート保守診断機能も実装し,遠隔での予防保守や障害時の迅速な対応を実現している.

(2)拡張ネットワーク機能の提供
大型コンピュータと小型コンピュータとの構成による垂直分散型ネットワークシステムや,小型コンピュータ複数台の水平型ネットワークシステム,両者の統合型,パーソナルコンピュータや異機種コンピュータ間とのリンクなど,複雑化・大規模化していくネットワーク状況に対応するため,次の特長をもつ拡張ネットワーク機能を提供している.
1.拡張ネットワークシステムアーキテクチャ「DINA-XE」に準拠
世界標準のOSIの7階層モデルに準拠するとともに,業界標準のTCP/IPプロトコルも取り込み,他社製品との容易な接続を実現.さらにピアツーピアの対等なプログラム間通信を実現する拡張プログラム間通信機能(COM-XE)・他を標準プロトコルとして規定.
2.ネットワーク集中運用管理機能
ネットワークを介して接続しているシステム一覧および各システムの生死/実行の状態を把握する監視機能や,他のシステムへのコマンド投入,ジョブ投入,遠隔レポート出力など,他システムに対する実行制御機能を実装している.

(3)ソフトウェアエンジニアリングアーキテクチャの提供
ワークステーション,パーソナルコンピュータがエンドユーザ部門に普及していくのに伴い,エンドユーザのコンピュータシステムに対するシステム開発要望が増えてきていた.その結果,コンピュータ運用部門(主に電算部門)においては既存のソフトウェアを数多く抱え込んでおり,このバックログ問題を解決するためのツールとして,2つの開発支援システムを提供している.
1.高生産性言語システム「IDLII(Integrated Data oriented Language II)」
第四世代言語として,プログラミング言語の水準を高度化するとともに,その効果を最大限に引き出す開発支援環境と実行支援環境を同時にサポートし,ユーザ業務開発のトータルな生産性を大幅に向上させている.パターンによるプログラミング・データ中心型プログラミング・ロジックの自動生成・視覚的なデータ設計等が可能であり,概要設計から製造/テスト工程までをシングルビューでサポートしている.
2.ソフトウェア開発支援システム 「SOFPIA」
基幹業務システムの設計から保守までを一貫して支援する統合化されたソフトウェア開発環境.視覚的な設計支援,開発作業の標準化,プログラム製造の自動化,およびソフトウェア資産の統合管理やその再利用化を図る分散型開発環境を提供している.

(4)エンドユーザ向けツールの提供
エンドユーザがEUF(エンドユーザファシリティ)を使用して,直接データ処理することを実現している.主な提供ツールは以下.
1.データベースサービスパートナ「TQFII(Table oriented Query Facility II)」
一般の事務処理に幅広く使用できるエンドユーザ機能で,検索・加工(集計/分類)・目的に応じた形式でのレポート出力,グラフ出力を可能としている.
2.意思決定支援システム「デシジョンサポートパートナII」
データを商品項目軸・部門軸・時間軸の三次元で分析することにより,ダイナミックな商品販売戦略・戦術につなげることを目的としたエンドユーザツール.統計手法,時系列分析手法をエンドユーザがやさしく利用できるようにしている.


 
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